セルフ・コントロール

これが最高の『セルフ・コントロール』法!


 ゴルフ中にキャディーさんから「このホールは左に池があるので、左に打ってはいけませんよ」といわれて、左に打たないように意識した。ところが意識しすぎて、かえってボールが左のほうに飛んでいってしまった。こんな経験を持つ人も多いと思う。
 これはキャディーさんの教え方が間違っている。このようなときは、マイナス情報は与えず、「お客さん、あのやや右前方に見える一本杉の方向を狙ってください。あの方向がベストです」と言うべきだ、とあるプロゴルファーが語っていた。
 これは何事にも大切なことだ。私たちの脳と現実の関係は不思議なもので、悪い状況を考えれば悪い現実が、よい状況を考えればよい状況が起きる。
A・カーネギーは、「楽しいことを考えれば楽しいものだし、惨めなことを考えれば惨めになる。恐ろしいことを考えれば恐怖のうちに震えることになるし、不健康なことを考えれば病気にもなるものだ。失敗するかもしれないと思い込むから必ず失敗するのだ」と言っている。
ゴルファーに限らず一流のスポーツ選手は、絶えず一番よい時のイメージして自分をコントロールする。
 私たちも、いつもよいことをイメージするとよい。


心の『定期預金』は与えるほど増える


 神戸・海文堂書店の島田誠さんは、「心の定期預金をしよう」と呼びかけている。
 お金は使えばなくなるが、心の定期預金は惜しみなく与えても決して残高が減らないどころか、与えれば与えるほど複利で増えてくる。
 心の貯金は急に増えることは泣く、毎日コツコツと蓄える以外にない。理性と知性を磨くことによって、初めて輝きを見せる感性は、実に手に入れるのが難しい。知識だけでもどうにもならない。
品性という触媒が作用して、初めてマイルドな感性として機能するようになる。
 日本人は、この品性という触媒をどこかに置き忘れてしまい、お金をため、技術や知識には優れていても田舎主義に毒されて、みんな卑しくなったように見える、と島田さんは厳しい。
 心の定期預金という難しいことのようだが、何も難しく考えることはない。
 ベンジャミン・フランクリンは「人間の幸福は、時たま訪れる素晴らしい幸運よりも、日常の小さな便宜から生まれる」と言った。
日常のささいなことの中に喜びを見つけ、周りの人々に優しい思いやりの心を持つことから、幸福感も生まれるのだと思う。


無尽の幸せ

 インドのジョークに「本当の幸せとは何か」を考えさせられるものがある。

 日本人がインドにやってきて、インド人に、「この機械を使って、こんなふうに魚を獲ると、現在の二倍も三倍も魚が獲れるでしょう」と漁業講習会で話をした。そのとき一人のインド人との間で次のような問答がなされた。
「確かにそうすれば二倍も三倍も魚が獲れそうだが、それでいったいどうなるのか」
「そうなると、お金が儲かります」
「じゃあ、お金が儲かってどうなるんだ」
「暇ができます」
「じゃあ、我々は暇をどうして潰せばいいのか」
「それなら、魚でも釣っていればいいでしょう」
 お金があるとか、モノが抱負にあるとか、競争の勝者や相対比較による優越感から得られる喜びというのは、本当の幸せではない。そんな幸福感に毒されていると、上には上があるわけで、永遠に本当の幸せ感を得ることはできない。
 本当の幸せは、いまここにある、そのままの自分に満足し、感謝して生きる中にある。